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51.子どもと大人が出会う場所—本のなかの「子ども性」を探る その1
原書名 : SIGNS OF CHILDNESS IN CHILDREN'S BOOKS〈Hollindale, Peter〉 著 者: ピーター ・ホリンデイル 監訳:猪熊 葉子 ISBN: 4-7601-2264-8 発行所: 柏 書房 発行日:2002年9月15日 「子ども性」という語の意味 よりの抜粋 英語に「子ども性(childness)」という語彙があるが、実際に使われることはほとんどない。『オックスフォード英語辞典』(Oxford English Dictionary 以下OED)をひもとくと、次の二つの意味が載っている。 (1)子どもっぽい気質(childish humour)、大人げのなさ(childishness) (2)子どもの特性(child quality)、子どもであること(being a child) (中略) OEDの編集者たちも、既存の形容詞「子どもっぽい(childish)」と「子どものような(childlike)」が意味するものとは違う意味をあらわすことのできる、「子ども性」という名詞を明らかにしようとしているが、十分に成し得ていない。彼らの徒労には同情するが、苛立ちも覚えずにはいられない。 ポリクシニーズ ※1 は「子ども性」というとき、非難の意味をまったく込めていない。それは私たちの言葉では「子どもっぽい気質」とでも呼ばざるを得ない、子どものありようだ。 彼が意味しているのは明らかに「子どもの特性、子どもであること」という、OEDの二つめの意味である。そしてまたポリクシニーズは、「子どもっぽい」「子どものような」という二つの形容詞の意味に少しもとらわれていない。(P96)   これは、私が「こどもOS」の説明に苦心していたときに図書館で出会った本です。 「こども性」という言葉が世の中にあることを改めて知り、こどもOSという価値観で「プレイフル・デザイン・スタジオ」を組み立てるときに、非常に参考になりました 。   ※1ポリクシニーズ シェイクスピアの『冬物語』第一幕第二場で、登場するボヘミアの王。  [tag:こども性]
52.自分の中の子ども—谷川俊太郎対談集(その2)
著 者: 谷川俊太郎 発行所: 青土社 発行日:1981年10月26日  I 表現行為と子ども―大江健三郎*谷川俊太郎 子どもの為の表現 よりの抜粋 谷川 子ども時代には自分のなかの子どもの部分を意識化することはできないわけですよね。それからそれを制御することもできないと思う。だからぼくなんかがいま、自分のなかの幼児的な部分に気がついて、それを何かの形で蘇らせようとするのは、やはり自分のなかの大人の部分であって、それは自分のなかの幼児的な部分を、悲しいことにどうしても制御しちゃうわけですよね。  だからそれは二面あって、制御できるから作品化というか言語化できるんだという面と、制御するしかないから、結局自分はほんとの子どもの至福というようなものは経験できないのだという。ときどきなんか書いててもそういう制御する自分の大人の部分というものがちょっといやになるということはある。(P31)   子どもの為の表現   大江 大人が意識的に子どものふりをするということがありますね。大人の、子どもに対する表現の仕方が三つあるといえるかもしれない。わざわざ子どものふりをするというのが一つ。大人であることを意識していながら、しかし自分のなかのほんとうの子どもを解放すること、が第二。三番目には、大人でいながらもうすっかり子どもであるような、独自な瞬間での表現。ぼくは最初の、わざわざ子どものふりをする大人を、子どものとき拒否したかった。いま大人としての自分も、そうしたことをするのは嫌だと思っている。  そのような気持ちで児童文学を読んでいると、わざわざ子どものふりをしている大人の書いた児童文学があって、それには反撥する。それは表現としても面白くない。書いている大人自身にとって、自己欺瞞の表現行動であるし、子どもの側もわざわざ子どものふりをしてもらわなくていいと思うだろう。(P32)   こどもの振舞いを見ていて「こどもOS」に遭遇すると嬉しくなります。でも、こども自身はそれをどう感じているんでしょう。こどもは受け狙いで大人の反応を横目で見ているところもありますし、自分はこどものふりをしてこどもに近づいているんだろうかと自問することもあります。だから、2人が提起する自己矛盾というものをひしひしと感じています。その中で、私が取ろうとしている立場は、大江氏が言われる選択肢の二番目です。こどもの振舞いを見逃さない沈着冷静な大人としての自分は不可欠です。しかし、こどもOSに共鳴するための自分の中のこどもセンサーを研ぎすませておくことも必要です。これから経験を積むべきことは、そうした「こどものスイッチ」をいかに自然体で無意識にONにできるかということでしょうね。   [tag:おとなの中のこども性 こどもOS]
53.「キッズデザイン展 in Takamatsu 2008」
■「キッズデザイン展 in Takamatsu 2008」 (主催:経済産業省 四国経済産業局 協力:キッズデザイン協議会)   キッズデザイン賞受賞作品を中心とした展示や親子連れを対象とするキッズワークショップが開催されます。 ◎日程:12/12(金)~14(日) ◎場所:高松丸亀町商店街壱番街ドーム下及びカルチャールーム      ■キッズデザインワークショップ『こども目線のデザイン創造』 調査研究プロジェクト「こどもOS研究会」が実施する活動に基づき企画されたワークショップが、上記キッズデザイン展の初日に合わせて開催されます。 講師は、当協議会フェローのムラタチアキ氏です。   ◎日時:12/12(金)13:30~17:00 ◎場所:高松市美術館 講堂(高松市紺屋町10-4) ◎講師:ムラタチアキ氏(株式会社ハーズ実験デザイン研究所 代表取締役) ◎定員:50名(先着順)※定員を超えた場合は聴講参加となります。 ◎参加費:無料 (交流会への参加費は2,000円です。) ◎申込:四国経済産業局のウェブサイトをご確認のうえ、お申込下さい。
54.板橋区立保育園こどもOSワークショップ職員研修(報告)
令和2年9月10日(木)、板橋区立保育園に勤める保育士・用務員の方々46名にお集まりいただき、「こどもの行動特性とハザードの予測方法」をテーマにワークショップを行いました。 当日は、会場に隣接する「平和公園」にてフィールドワーク(環境調査)を行い、子どもの行為とハザードの予測について、グループワークを行いました。 アンケート結果(46名) 自由回答 保育施設内で行って欲しい(より具体的になる) 子どもの気持ちを考え直し、深めていく良い機会になりました。子どもの特性について、園でも話していきたいと思います。 子どもの興味関心からどのような危険が考えられるのかを様々な視点から見ることができました。それを踏まえた上での対策、保育士の援助を考える良い機会となりました。園内の研修としても活用できると思いました。 公園の中を巡ってみて、日頃考えていた危険なことに加えて、ハッとさせられる危ないこともあり、発見がたくさんありました。 危ないことに対する方法も危険なものを取り除くだけでなく、子どもたち自身に考えさせる“身体を鍛えていく”というOSのアップデートも大事なんだと思いました。 楽しいことには常に危ないことのリスクがついてまわるので、リスク・ハザードを考えつつ、子どもの成長段階にあわせて経験をさせたい遊びを保育に取り入れていきたいと思います。 プレイフル・デザイン・カードを使い、逆に子どもにとって魅力的な遊びを考えられるのでは、ないかとも思いました“保育のヒント”になります!ありがとうございました。 普段子どもたちと関わっている中で危険だと思うことがたくさんあります。危険や安全について考える時間が持てたことがとても良かったです。ありがとうございました。 ハザードの事前予測について改めて考える場、知る場を設けていただいたので、今までとはまた異なる視点で園庭や公園での保育に活かせると思いました。また公園は保育園児の様な必ず大人がついている子ども以外も利用する場なので、管理等本当に大変だなと改めて感じました。ありがとうございました。 こどもOSがとても分かりやすく、新人保育士の危険予想として、とても参考になると思いました。新人だけではなく、改めて子どもの視点に立ち返り、日頃から遊びの提供の中にも危険を予想できるようにしていきたいです。 とても楽しかったです。子どもの目線に立って考えてみると、いろいろな危険や逆にたのしいことがたくさんあるなと感じました。 今回のワークショップは、園での園内研修にも活かせると思い、とても有意義でした。こういう考えから商品につながるのも楽しいなと思いました。 今回初めて知ったがとても楽しく、また興味深い研修でした。ありがとうございました。 子どもの気持ちに沿った行動を考えさせられ、とても良かった。自分自身の気付きにつながった。 子どもの目線になって改めて公園を見てみると、発見もできて楽しい研修でした。 子どもの心情、考えられる行動は保育士だから当たり前にわかるというものではありません。行動原理等を研修で取り入れ、「わかる」と「わかるの先」を考えていくことも楽しいかと思いました。 グループで話を進めていくことで、一つのテーマでも色々な思い、考え、アイデアがある。楽しく進めることができた。決めつけではなく色々な視点から見ることが大切と思った。 日頃何気なく遊んでいる場所に、色々な予測をしながら話し合いをする中で見えてきたものが多くありました。子どもたちが伸び伸びと遊べるよう、様々な行動の予測を立て、安全に配慮しながら今後も保育していきたいと思います。 園の職員だけでなく、保護者にも伝えたい内容でした。ありがとうございました。 ちょっとしたところに潜んだ危険や、その中で光る楽しさ、遊びの魅力に気付くことができました。実際に書いたり見たりすることでの気付きも大きく、研修を受けることができて良かったです。 子どもの動きは予測不能な部分もあると思っていたので、研修を受けて、そうではなく、子どもの動きを予測して大人が環境などを整えていく必要性があることを改めて学びました。 保護者から「どうしてうちの子こんなことするのか分からない!」という相談を受けたことがあり、その時にうまく説明ができなかったのですが「それ、こどもOSです」をその保護者に伝えたいと思いました。 少子高齢化の中で“子ども”のことを知っている大人が少ないと感じるので、学生(高校生・大学生など)にも伝えたいなと感じました。 保育園での散歩時にいつも気を付けていますが、今回の研修で改めて考えるきっかけとなりました。また、グループでワークを行ったことで、自分とは異なる発見を知ることができ、ハザードの予測の幅が広がったと感じました。 子どもの行動は予測できないと分かっていつつも、一つの場所についてじっくりと危険について考えて取り組む時間がとれていなかったことに気がつきました。遊び、経験、危険の三つがバランス良くとれるように、保育を組み立てていきたいと改めて思いました。 子どもの目線に立った、そして、子ども側に立った内容と考える時間ができ、良かったです。 実際に現場に行って、確かめる内容は、各グループの考えも聞く機会もあり、良かったです。 何気ない場所でも色々な危険が潜んでおり、色々な視点から考えることが出来たり、他の方の視点を聞いて、「なるほど!!そんな事もある!」と新しい発見もありました。再確認もでき、有意義な時間となりました。ありがとうございました。 子どもOSを改めて考えてみると、生活の上でも仕事を進めていく中でも、とても大切なことだと思いました。「ダメ!」と言ったり、取り除いたりするだけでなく、OSを理解し、どう働きかけるのか考えさせられました。 同じ場所を調べた中でも色々な意見があり、改めて「それもあった」と考え直す部分もありました。今後も日々の遊び場所など、この様にみんなで話し合い、子どもたちのやってみたい思いを受け止めながら危ない所は改善していけると思いました。 予測のつかない行動、発想をするのが子どもという事を改めて考えさせられる内容でした。柔軟な発想でより快適になる工夫ができればと思います。 とても興味や関心を持って参加させて頂きました。日頃のちょっとした気遣いに改めて目を向け、考えたり接して行きたいと思いました。 とても分かりやすいお話で参考になりました。この様な機会を頂き、ありがとうございました。 私は保育士ではありませんが、内容としてはとても良い研修を受講させていただいたと感じています。 ケガをさせたくない、危険を回避させたい大人。でも、何ごとも経験だと感じました。子どもたちの無限の想像力をつぶさないように、見守る力を大人が身につけることも大切だと思いました。 子どもの視点での考え方や、保育士としてのとらえ方など、同じワークの中でも様々な発想が聞かれました。 若い年代の方々が、子どもたちの体幹や経験を増やすことを考え、ハザードを想定しながらも、それをとりのぞくだけでなく、対応できる力を育てる視点が保育園では必要という発言をしていることに、今一度振り返りの機会となりました。 OSという言葉を初めて知りました。伸びる力と子どものキモチに寄り添いながら、できるだけ安全に環境を整えていかなくてはいけないと思いました。 様々な視点から環境を見ることができました。子どもの目線になって今後も遊びの環境を見て考えていきたいと思いました。 ワークショップで実践の中で危険の考察をすることで、より身近に感じることが出来、多くの気づきがあった。 普段の遊び場や道路など、全てに子どもの遊びの要素や危険があることがわかり、大変参考になりました。 プレイフル・デザイン・カードはとても興味・関心を持つものとして、是非購入したいと思いました。 カードを使って、園内研修で活用し、園全体の職員で勉強したいと思います。 大人が一瞬先の行動を読みとる習慣を常に意識して、想像力を豊かに子どもたちの安全を守っていきたいと思いました。 コロナの影響で春夏と散歩に行けずだったので、日頃の復習になると共に、そこまで考えていなかったと反省もありました。子どもは予測しない行動を行うので、頭において保育していこうと思います。 グループで危ない場所を確認しながら写真をとり、討議につなげるやり方は良かったと思います。 ...
55.子どもアート・ボランティア講座2008のお知らせ
子どもアート・ボランティア講座2008(参加無料) 子どもとアートに関わる皆さん、子どもとアート事情の最先端を学びませんか? 日本屈指の講師陣とともに、これからの子どもとアートのコラボレーションのあり方を探ります!   講座1 11月15日(土)13:30〜16:30     ●学校の外でアートと出会おう!  「学校外教育での子どもとアートのこれまでとこれから」 パネリスト 宮脇 理(芸術教育学、元 筑波大学教授) 斎 正弘(宮城県美術館教育普及部部長) 会場:同志社大学 今出川キャンパス 至誠館2番教室   講座2 11月29日(土)13:30〜16:30     ●子どものための施設でアートと出会おう! 「最先端を行く子どもとアートの 施設とその教育研究プロジェクト」 パネリスト 目黒 実(九州大学ユーザーサイエンス機構 特任教授、子どもプロジェクト主宰) 上田信行(ネオ・ミュージアム館長 同志社女子大学現代こども学科教授) 会場:光清寺(京都市千本出水通西入ル)   講座3 1 月10日(土)13:30〜16:30     ●学校にアーティストがやってくる! 「アートでひらくこどもと社会」 パネリスト 水野哲雄(京都造形芸術大学こども芸術学科教授) きむらとしろうじんじん(芸術家) 会場:京都市立北白川小学校 ふれあいサロン室 ■主催:アート・コミュニケーション・デザイン、同志社大学 社会・芸術国際研究センター ■申し込みお問い合わせ 氏名、住所、電話番号、所属、希望講座番号を明記の上、 下記メール宛にお申し込みください。 詳細案内チラシはこちらからダウンロードしてご覧下さい。 [tag:子どもとアート]  
56.ムーミンパパの「手帖」トーベ・ヤンソンとムーミンの世界(その4)
著 者: 東 宏治 ISBN:4-7917-6312-2 発行所: 青土社 発行日:2006年12月30日  2 安らぎの空間、憎しみの空間 よりの抜粋 (1)その場にいると「安心感」が得られること。それは自分の三方や四方が(とくに背後が)、樹木や岩や薪の山などの"壁"によって守られていることによって得られる。 (2)それとともに、「開放感」があること。上方や前方に、空や海などの空間の拡がりがあるおかげで、閉じこめられているという感じがなくなっている。 (3)その場にひとりでいられ、ひとりでものを考えられること。かれらの見つけたその場所の広さは、せいぜいベッド二個分か、一人でしかいられないほどである。 (4)そこには太陽がさしこんだりして、「あたたみ」や「ぬくみ」が感じられること。 これらの共通点の一つ一つが、「安らぎの空間」を形づくる要素であることは、自分が子供だったころに、ムーミントロールのように秘密の隠れ処を見つけようとしたときのことや、成人して自分の部屋や書斎をもとうとするとき頭に思い描いたものを想い出してみれば、容易にうなずくことができるだろう。ぼくらが「家」というものに抱く夢は、こうしたものを基盤にしているのである。(P24)   トーベ・ヤンソンが示す安らぎの空間というものを私のこども時代に照らし合わせて見れば、それはまさに、崖に横穴を掘った秘密基地であり、土管の中のアジトであったりします。また、おばあちゃん家の薄明かりの差し込む天井裏だったかもしれません。 「現代ッ子がそんな場所を見つけられるのかな?」と思っていたら、おとなが予想だにしない場所をこどもたちが教えてくれました。 写真は、とあるショッピングセンターの案内盤の裏なのですが、傾斜した背もたれといい、温かいカーペットといい、ガラスを通して差し込む光と吹き抜けの見晴らしといい、ヤンソンが示す4つの条件を全て備えているという点と、それをこどもたちが(こどもOSを使って)環境から的確に読み取っているということに驚かされます。    [tag:安らぎの空間 こどもOS]
57.第6回キッズデザイン賞 審査委員長特別賞をいただきました。
  大阪府産業デザインセンターの川本です。 昨日、六本木アカデミーヒルズで開催されました第6回キッズデザイン賞表彰式に出席し、「こどもOS研究会」を代表して表彰状を受け取って参りました。 上位賞をいただくのは今回で2回目ですが、壇上に上がるのは始めてで大変緊張しました。 しかし、審査委員長の赤池さんから温かな激励のことばをかけていただき、改めて喜びがわき上がって来ました。 今後は、カードを使った発想プログラムづくりと生み出された結果としての成果が求められます。 引き続き頑張って行きたいと思います。 ■作品名:こどもOSに基づくデザイン発想ツール「プレイフル・デザイン・カード」の開発と検証 ■こどもOS研究会:大阪府(大阪府産業デザインセンター/積水ハウス株式会社/大和ハウス工業株式会社/パナソニック株式会社/株式会社ジャクエツ環境事業/NPO法人GIS総合研究所 《開発の考え方》 デザイン発想に必要な問題発見力と創造力を10歳前後のこどもたちの自由な行為(こどもOSランゲージ)に求め、カードツールへ落とし込みました。 表にはプレイフルなデザインコードを、裏にはハザードの芽を摘み取る安全・安心コードをまとめました。 このカードは様々な商品開発の現場で触媒として活用いただけます。 《仕様》 21個のランゲージカードがセットになった、こどもたちに特有の行為や思考(こどもOSランゲージ)をまとめたヨコ134mm、タテ190mmのデザイン発想のためのカードツール。 《審査評》 子ども特有の行動特性や心理特性などをデザインコード化した「こどもOS」をユニークなカード形式で発想ツールに進化させた意欲的な取り組み。 表には大人が忘れてしまった子どもならではの行動から学ぶ新たなデザインコード、裏にはそれが時には事故要因にもなりえるという注意喚起につながる安全安心コードを記載しており、複層的にクリエイティブマインドを喚起させる。
58.子どもたちの建築デザインー学校・病院・まちづくりー(その1)
著 者: 鈴木 賢一 ISBN:4-540-06245-X 発行所: 農山漁村文化協会 発行日:2006年07月  1章 子どもとまちづくり—ワークショップの可能性— 参画のはしごを登る 秘密基地 よりの抜粋 子どもの建築教室を重ねるうちに、プログラムの組み立てに関して板ばさみの感覚をもつようになりました。建築教室の学習プログラムを精緻にすればするほど、大人が子どもに伝えたいことが全面に出てしまい、子どもの自由な発想を奪ってしまうからです。もともとは、子どもが活動を通じて知らず知らずのうちに気が付き学ぶプロセスを大事にしたかったのです。だからこそ、どうしてもやってみたいと思う企画がありました。それが秘密基地づくりです。   (中略) 皆さんは秘密基地ということばから何を連想しますか? 研究室の学生が、今の子どもたちが秘密基地をもっているかを卒業研究で調べたことがあります。使い捨てのカメラで自分の秘密基地を写真に撮らせました。以前にはまちの中にあった得体の知れない場所が消え失せてしまって、そういう場所をもっていないのではないかという仮説に反して、多くの子どもたちが秘密基地を持っていました。写真と添えられたコメントを読むと、「秘密」とは「仲間で共有する」という意味に、「基地」とは「居場所」という意味に解釈できました。(P28)     こどもOS研究会が大人を対象に行った、2008年の第1回から第3回までの「プレイフル・デザイン・スタジオ」ワークショップでは、「こどもOSという発想自体が面白く、経験したことのない時間だった」といううれしい評価の反面、「やらされ感があった」、「はじめから“おとしドコロ”を設定してあるように感じた」というコメントもありました。ワークショップ参加者に「こどもOS」を感じてもらおうとする様々な仕掛けが、主催者側の誘導や強制に感じられたという意味で私たちの反省材料です。 2009年はこどもたちが生活している空間で「こどもOS」を調査するためのワークショップをいくつかの小学校とその周囲で行う予定です。その際に、同じ轍は踏まないということが肝要です。「こどもたちに自由にさせる」、「気づいてくれるまで待つ」という姿勢が大事ですね。 私たちの仮説は、現代のどんな地域のどんな状況に暮らすこどもたちであっても、「秘密基地」や「お気に入りの場所」、「不思議な場所」があって、そこでのこどもOSが垣間見えるというものです。こどもたちがどのような振舞いを見せてくれるのか?興味は尽きません。     [tag:秘密基地 こどもOS 気づき]
59.子どもと大人が出会う場所—本のなかの「子ども性」を探る その5
原書名 : SIGNS OF CHILDNESS IN CHILDREN'S BOOKS〈Hollindale, Peter〉 著 者: ピーター ・ホリンデイル 監訳:猪熊 葉子 ISBN: 4-7601-2264-8 発行所: 柏 書房 発行日:2002年9月15日 子ども不在 の 子ども性 ビアトリクス・ポター『キツネどんのおはなし』 よりの抜粋 ビアトリクス・ポター ※1 は、幼い子ども向けの物語に難しい言葉を取り入れていることで有名だ。レタスを「催眠性の」と描写した例は、常に引き合いに出されている。この『キツネどんのおはなし』も例外ではない。たとえば、アナグマ・トミーがウサギ穴に「いそいそと」入る。だが、こうした大胆な言葉遊びは、幼い子どもに語彙力をつけることを目的としているわけではない。むしろ、子どもは大人の言葉を真似て、それを遊びにするものだ、という認識の表れである。   つまり、ポターは、彼女自身が大人として言葉を楽しむこと、特にその尊大で古風な形式を楽しむことで、そこに子ども読者を招き入れようとしているのだ。ポターは子どもにこう告げる。「あなたたちもこういう言葉が使えますよ。そうすれば、ばかげた大人たちを茶化せるのです。」彼女が使う「難しい」言葉は、子どもと同盟を結ぶ一つの手段である。ポターは、常に子ども読者との間に距離を保ち、常に権威ある語り手でありながら、遊びと風刺がきいた大人という、彼女自身と同じ地位に子ども読者を引き上げる。(P221)   ビアトリクス・ポターのように、 こどもの絵本の中に難しいことばを散りばめるという試みは、心理学者ピアジェの「発生的認識論」の解釈では、「不均衡化(知らないこと)」をあえて仕掛け、それを知ろうとする働きによってこどもの学びを起こさせるということになります。 しかし、どうもそうではないらしい。ポターはむしろこどもの側にいて、ばかげたおとな たちを茶化している。 そう言われてみると『ピーターラビットのおはなし』は、 現実世界へのアイロニー(皮肉)で満ちあふれていますね。 ポターに見られる、イギリス人特有の遊びゴコロと風刺の精神は、「物事の本質を見極められる、かしこい おとな になりなさい」という、こどもに、そして、おとな にも向けられたメッセージなのかもしれませんね。   ※1 ビアトリクス・ポター (1866〜1943)ロンドン生まれのイギリスの水彩画家、絵本作家。幼少時から休暇で訪れたスコットランド、湖水地方の自然に深い愛情を抱く。のちに自ら購入し移住した湖水地方の土地を舞台にして、『ピーターラビットのおはなし』(1902)から始まる二十余冊の「ピーターラビットの絵本」シリーズが創作された。 [tag:こども性 こども不在 レタス]
60.子どもと大人が出会う場所—本のなかの「子ども性」を探る その2
原書名 : SIGNS OF CHILDNESS IN CHILDREN'S BOOKS〈Hollindale, Peter〉 著 者: ピーター ・ホリンデイル 監訳:猪熊 葉子 ISBN: 9784760122646 (4760122648) 発行所: 柏 書房 (2002-09-15出版) 発刊日:1997年3月17日 子どもの 子ども性 よりの抜粋 ポリクシニーズ ※1 は、「さまざまな顔をもつ子ども性」について述べている。息子のフロリツェルは、遊びのなかで数々の大人の役を、次々と演じようとする。ポリクシニーズが楽しんでいるのは、子どもの自由気ままさや、とらわれなく変化していくありようである。 (中略) フロリツェルの子ども性とは、(そして、マクドナルドやOEDの編集者たちが最善の努力でもって定義しようと試みている「子どもの子ども性 ※2 」も)、子どもであることによって生まれる特性である。すなわち、みなぎる活力、あふれる想像力、いろいろなことを試そうとする欲求、相互交流性、変わりやすさなどである。そして、この子ども性こそが、私たちが成長するために欠かせないものなのである。(P97)    ここで語られている「子どもの子ども性」には、最初違和感を覚えました。なぜなら、子どもが子ども性を持っているのは、ある意味あたりまえじゃないかという感覚です。ただ単に「子ども性」だけでいいのではないか?と思ったのです。 しかし、このことばには対になることばがありました。それを知ったとき「あぁ、これは私が小学生の息子に対して、日々使っており、大人としても大事な能力なのだ」と改めて感じたのです。   ※1 ポリクシニーズ シェイクスピアの『冬物語』第一幕第二場で、登場するボヘミアの王。  ※2 子どもの子ども性 子ども性とはたとえば、子どものもつみなぎる活力、あふれる想像力、いろいろなことを試そうとする欲求、変わりやすさなどである。これらは子どもが子どもであることによって生まれる特性である。子ども性には大人が子どもに伝えたり期待するものによって規定されていく面もあり、これらは、時代、文化、宗教、個人の感性や好みなどによって変化する。このような多様な子ども性を子ども自身が融合させて自身の子ども性を構築し、子ども時代とはなにか、適切な振る舞いやタブー、特権は何かという感覚をつかんでいくことになる。 [tag:こども性]