2024年3月29日(金) 21:41 JST

子どもたちの建築デザインー学校・病院・まちづくりー(その3)

子どもたちの建築デザイン

著 者: 鈴木 賢一
ISBN:4-540-06245-X

発行所: 農山漁村文化協会

発行日:2006年07月

 2章 子どもと学びの環境—欧米の学校建築に学ぶ— 子どもを誘う教室の床 行動と環境の関係 よりの抜粋


  • 建築や都市を語る視点はいくつもありますが、最も重要な視点の一つは、人間の行動と環境との関係です。物理的環境のあり方は、意識するとしないにかかわらず人の心理や行動に驚くほど影響を与えています。最近、従来の都市計画学に加えて、環境心理学あるいは環境行動学といわれる研究領域の活動が盛んです。人間の心理や行動と環境との関係を本質的に明らかにしようという動きです。
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  • ギブソン(J.J.Gibson)は環境と知覚とが切っても切れない関係にあることを、アフォーダンス(affordance)という概念で説明しようとしました。人によって発見される環境の資質や情報(行為の可能性)に着目し、afford(提供する)という動詞を用いてつくられた新たな言葉です。
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  • 抽象度の高い概念ですので、すぐには理解し難いのですが、人が人工環境を行き交う都市に目を転ずると、そこには行動と環境の関係を説明するための絶好の材料がそろっています。(P107)

 

 

こどもOS研究会でもこども目線・こどもゴコロの読み解き方の核となる「アフォーダンス」の概念ですが、一般的にデザインではなく、認知心理学や認知科学の分野で語られています。

「主体(人間)の側ではなく、客体(環境)の側にこそ行為の可能性が潜在的に存在していて、人間はそれを状況に応じて読み取っているのだ」というギブソンの主張は、人間が環境から価値を見出しているとする人間中心主義の立場からは想像しにくいものです。

しかし、しばしば私たちがこどもの行動を読めないというのは、環境に対するこども目線のアフォーダンスが存在しているからではないでしょうか。

それは、こどもの「ごっこ遊び」や「いたずら」、「ファンタジー」という条件に符合するアフォーダンスであり、おとなの常識や価値として見過ごしている可能性が大きいのです。

 

 

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