子どもと大人が出会う場所—本のなかの「子ども性」を探る その4
- 2008年8月21日(木) 22:12 JST
- 投稿者: kawamoto(oidc)
原書名: SIGNS OF CHILDNESS IN CHILDREN'S BOOKS〈Hollindale, Peter〉 |
著 者: ピーター ・ホリンデイル 監訳:猪熊 葉子 |
ISBN: 4-7601-2264-8 |
発行所: 柏 書房 |
発行日:2002年9月15日 |
テクストの子ども性 よりの抜粋
- 子ども性は、子どもの文学のテクストを他の文学ジャンルから区別するための際立った特性であり、子どもがテクストを読む際に持ち込む特質でもある、ということを主張したい。
- 子どもとテクストとの出会いは、うまくすれば動的なものとなる。つまり、「テクストの子ども性※1」は、子どもの子ども性を変えることがあるし、子どもの子ども性もまた、テクストの子ども性を変えることがある。(P100)
テクストのこども性で語られている相互作用と今日の問題点は、こどものための商品がこどもの成長過程に何らかの影響を与えるとともに、デザイナーが生みだす商品をも変えて行くという意味合いにおいて、そのまま現代のキッズデザインにも当てはまるのではないでしょうか。
- ※1 テクストの子ども性 作家が、子どもの本を書く際に、テクストに付与するものである。テクストの子ども性は、子どもの読者が本を読む際にもち込む「子どもの子ども性」と交流し、相互に影響し合う。そこに子どもの文学という事象が成立する。子ども自身がもち合わせている子ども性と、テクストが内包している子ども性とは、時代差や個人差などによって合致したりかけ離れていたりする。二者の交流が生みだす作用にこそ、子どもの文学の特質があるのだが、今日の社会状況では、この交流がうまく行われるのが難しくなっているという。
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