著 者: 鈴木 賢一 |
ISBN:4-540-06245-X |
発行所: 農山漁村文化協会 |
発行日:2006年07月 |
1章 子どもとまちづくり—ワークショップの可能性— まち歩きのすすめ 風景を切り取る よりの抜粋
- ただ闇雲に「まち歩き」するのではなく、成果を共有するための方法が必要です。子どもたちに簡単にできる方法の一つは、使い捨てカメラまたはポラロイドカメラでの写真撮影です。面白い写真を撮るという明確な目標を与えられた子どもたちは、さながら小さな新聞記者、「路上観察学会会員予備軍」といった様子で、蜘蛛の子を散らすようにまちの取材に出かけます。
- しばらくすると名前のわからない巨木があった、実のなる木があるといって、ささやかな自然を見つけてきます。紅葉した葉っぱとドングリを合わせて持ってきてくれます。コンクリート塀を突き破った木の根、変な形の外灯、アメンボが描かれたマンホールなど、ちょっと変わったものへの興味は大人より子どもの方が勝ります。良い写真を撮ろうとひとひねりを狙う大人と違い、小学生の写真はストレートです。
- (中略)
- 撮影された写真を並べて気が付くことは、意識しなければどこのまちにもありそうで見過ごしがちなものばかりだということです。しかし、どの被写体も地域独自のものでかけがえがなく、各々濃密ないわく因縁を持っていそうです。しかも、その時その場で撮影しないと意外にシャッターチャンスを逃すものもあります。写真は見えている視界全体の中から、特定のシーンを切り取る作業ですから、撮影者独自の世界観が見え隠れします。子どもは、写真でまちの新しい見方を無意識のうちに教えてくれます。(P53)
こどもOS研究会では「ぼくらの町のお散歩会!」というこども参加のワークショップを通じて、こどもたちの自然な振舞い(こどもOS)を調査する予定です。
こどもたちにビデオカメラ、おもちゃのマイク、地図を渡して実際のテレビクルーさながらに、こどもたちが知っている楽しい場所をレポートしてもらうのです。
まち歩きイベントの形を借りていますが、私たちのもう一つの目的は「こどもOS」の観察。
こどもたちのまち歩きの様子をメタカメラで捉えるというのはドキュメンテーションの入れ子状態ですね。
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