自分の中の子ども

著 者: 谷川俊太郎

発行所: 青土社

発行日:1981年10月26日

 I 表現行為と子ども―大江健三郎*谷川俊太郎 大人の中の「子ども」 よりの抜粋


 

ここで語られている対象はこどものための絵本ですが、これを「こどものためのデザイン」ととらえ直してもいっこうに差し支えはないでしょう。

大人は総じて善か悪か、白か黒かをはっきりさせたがるようですしかし押しつけの善意ほど始末の悪いものはないように(それを世間では偽善といいます)。善と悪を両極に置いたつもりが、いつのまにか隣どうしだったなんてことも珍しくありません。本音と建前というのもその親戚かもしれないですねこどもはというと善も悪も白も黒も、お隣どうしの存在で常にその位置が入れ替わっているし固着もしていないという意味で全体性という言葉がしっくりくるのでしょう。

そこから考えていくと「こどもはこうあるべきなのだ」とか「こうすればああなる」式の大人の思い込みが、何の意味も成さないことが見て取れます。だから常にこどもから学ぶという姿勢が大事なのだと思います。

 

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